シオン(紫苑)は淡い紫色の花が美しい、古くから親しみのある花です。
今回はそんなシオン(紫苑)とはどんな植物なのか、花言葉や効能などをご紹介します。
シオンってどんなお花?
シオンの基本的なことを紹介します。
- 学名|Aster tataricus
- 科名|キク科
- 属名|シオン属(アスター属)
- 和名|紫苑
- 英名|Tatarian aster
- 開花時期|9〜10月
以上がシオンの基本データです。
シオンの根や根茎を乾燥したものを「紫苑」といい、鎮咳、去痰、利尿薬として使用しています。
日本でのシオンの栽培は花の観賞目的に限られ、生薬は輸入品でまかなわれているようです。
シオンはアレンジでどう使われる?
シオンは花束などにアレンジするとき「フィラーフラワー」として使用されます。
フィラーフラワーとは花と花の間を埋めたり繋げたりするために使います。
またボリューム感や立体感も出せますが、入れすぎるとバラなどの目立たせたい花が霞んでしまうこともありますので注意して使うようにしてください
シオン(紫苑)の名前の由来は
紫苑の学名:Aster ですが、これはギリシア語で「Aster 」は「星」という意味があります。
これは紫苑の花弁が放射線状に横に開く見た目から由来しているとされています。
この様子がキラキラと輝く星のように見えたのでしょう。
そこで星にちなんだ学名となっています。
「紫苑」という言葉は花弁の薄紫から由来しています。
しかし、「苑」とはなぜついたのでしょうか。
こちらは紫の花が蕪に沢山集まって咲く様子を苑と表現したことが由来しています。
「苑」とは広い場所や土地を表します。
紫苑の別名はオモイグサ
別名のオモイグサは「今昔物語」に登場する弟の父への思いから「思い草」となりました。
また、オニノシコグサは「鬼の醜草」という漢字です。
こちらもこの物語に登場する鬼が弟に力を与えたことから由来しています。
ジュウゴヤソウという別名は、十五夜の頃に花が開花する特徴があるからです。
シオンの花の特徴と種類
アスター属の仲間であるシオン(紫苑)はキク科の植物です。
花の色は青と紫で、寒色の涼し気な色が特徴的です。
花期は8月から10月です。9月頃がシオンは美しく見頃といわれています。
十五夜の時期は特に美しいので月と一緒に観察してみてくださいね。
シオンの花は3センチほどで大きくはありませんが、たくさん集まって咲く様子は品があります。
放射線状に開く花は花弁の少ないタンポポのようです。
今回はいくつか代表的な人気のシオンを集めてみました!
ダルマシオン
日本原産で、シオンよりも草丈が低く、コンパクトな株にまとまります。
薄紫色の花びらで、切り花に最適な品種です。
アメリカシオン
北アメリカ原産の品種です。
草丈が60~200cmほどの大型種で、8月~10月にかけて直径4cmとやや大きめの赤紫色をした花をつけます。別名、ネバリノギクとも呼ばれます。
ノコンギク
日本原産の野菊の1種です。野山にいくと自生している姿が見られますよ。
草丈は50~100cmほどで花径3cm程度の白~淡紫色の典型的なキク型の花を咲かせます。
コンギク
日本原産の種類です。
ノコンギクの栽培種で、草丈は30~100cmで花径3cm程度の美しい濃青紫色した花色の花を咲かせます。
主流は濃青紫色で、白色の花もあります。
クジャクアスター
北アメリカ原産で、元はシロクジャクという白い花とユウゼンギクとの交配によって生まれました。ピンク、紫、藤色、青など花の色が豊富で、株が埋まるほどのボリュームがある2~3cmほどの小花が咲くのが特徴です。
クジャクソウ(シロクジャク)
白、ピンク、紫色の花色がある北アメリカ原産の種類です。
草丈が高く、枝分かれした先に咲かせる花の様子がクジャクの羽に似ていることから名づけられました。
切り花として広く流通しています。
シオンの花の特徴
宿根アスターの仲間で日本原産のとても丈夫な花です。
花は青紫~薄紫色で3センチ程度です。
長く伸ばした茎に花序を作ります。
環境によって花色が濃くなったり薄くなったりします。
葉には明確なしわがはいり、触り心地はカサカサしています。
ロゼット部分の葉は大きく30cm~40cm以上あります。
耐寒性
耐寒性は強いです。
冬~初夏の間はロゼット型で、花時になると長い花茎を伸ばします。
生育旺盛で株は地下茎で広がります。
その丈夫さで有料ガーデンや公園などでもよく見られます。
日照量
適湿を好みますが、乾燥にも耐えれます。
徒長しないように、なるべくよく日の当たる場所で育てます。
シオンの植え付け
3月から4月上旬、10月下旬~11月上旬頃が最適です。
鉢植えでも庭植えでも育ちますが、大きくなることを考えて、20~30cm間隔の株間は開けて植えつけると良いでしょう。
日当たりと置き場所
日当たりの良い場所が適しています。
日陰でも比較的明るい場所なら育たないことはないですが花付きが悪くなったり茎が間延びすることがあります。
また西日のもろに当たる場所は乾燥が激しい上に真夏は強烈すぎて葉が焼けて弱ることがあるのであまり適していません。
性質は強健な植物で環境が合えば、放任とまではいかなくてもさほど手間がかからずによく育ちます。
日当たりや用土など適した場所に植えることが育てる上での一番のポイントといえるでしょう。
植えつけと用土
水はけがよく、適度に湿り気のある土壌が適しています。
植えつけの適期は春に芽を吹く3月~4月上旬もしくは開花後の10月下旬~11月が適期です。
水はけのよい適湿な土壌を好むので植える場所や用土には腐葉土を混ぜ込んで、ゆっくり効く化成肥料を少量混ぜ込んでおきます。
シオンの花言葉
シオンにももちろん花言葉はあります。
シオン自体の花言葉は「遠方にある人を思う」「君を忘れない」です。
それでは花言葉を見ていきましょう!
シオンの花言葉|「遠方にある人を思う」「君を忘れない」
この花言葉は、「今昔物語」の中におさめられた話に由来すると言われています。
簡単に物語を紹介していきます。
かつて、父が亡くなった兄弟がいて、その兄弟は父の墓参りを欠かした事がありませんでした。
しかし、兄の仕事が忙しくなりカンゾウを父の墓前に植えて徐々に墓参りをしなくなったのです。
それとは反対に弟は墓前にシオンを植えて、雨の日でも欠かす事なく父の墓参りを続けました。
このことを知った鬼が墓参りを続けた健気な弟のほうに予知能力を与えます。
その予知能力を得たお陰で弟は生涯幸せに暮らせたという話です。
この弟の父への思いから「追悼」「君を忘れない」という花言葉になったのでしょう。
「遠方にある人を思う」という花言葉は天国にいる父親のことを指しています。
こちらもこの物語が由来する花言葉です。
この話からシオンはオニノシコグサ、オモイグサという別名が付けられました。
シオンを切り花にして楽しもう
シオンは様々な種類がありますが、切り花におすすめなものもたくさんあります。
ブルー系の涼し気な色は切なくもあり美しいですよね。
ぜひ花束にしてみませんか。